プロジェクトの見積りの時に各工程の工数比率の妥当性を確認したい場合あると思います。
工数比率についても、IPAが統計的に各フェーズの工数比率・割合を出してくれています。
これもいちいちソフトウェアデータ白書から探すのが面倒なので、平均・中央値についてまとめました。
目次
前提
今回もソフトウェア開発分析データ集2020のデータを参考にしています。
https://www.ipa.go.jp/files/000085879.pdf
また、バグ密度・試験項目数についてこちらの記事にまとめているので見てみてください。
1人月のstep数の平均・中央値についてもこちらの記事にまとめています。
新規開発の各フェーズ(基本設計、詳細設計、開発、結合テスト、総合テスト)工数割合
新規開発の各フェーズの工数比率。
設計・実装・試験は全て約32~33%と近い値だ。
ざっくりした比率は 3 : 3 : 6 : 4 : 2といった感じだろうか。
中央値 | 中央値 (100%正規化) | 平均 | |
基本設計 | 0.157 | 16.4% | 0.170 |
詳細設計 | 0.161 | 16.8% | 0.172 |
制作 | 0.322 | 33.5% | 0.321 |
結合テスト | 0.202 | 21.0% | 0.202 |
総合テスト | 0.118 | 12.3% | 0.135 |
改良開発の各フェーズ(基本設計、詳細設計、開発、結合テスト、総合テスト)工数割合
改良開発の各フェーズの工数比率。
新規開発よりも試験の比率が設計・実装より5~7%近く上がっている。デグレを意識しているため試験工数が高いのだろうか。
ざっくりした比率は3 : 3 : 6 : 4 : 3といった感じだ。
中央値 | 中央値 (100%正規化) | 平均 | |
基本設計 | 0.150 | 15.9% | 0.159 |
詳細設計 | 0.151 | 16.0% | 0.161 |
制作 | 0.295 | 31.3% | 0.300 |
結合テスト | 0.205 | 21.7% | 0.214 |
総合テスト | 0.143 | 15.1% | 0.166 |
再開発の各フェーズ(基本設計、詳細設計、開発、結合テスト、総合テスト)工数割合
再開発の各フェーズの工数比率。
新規開発よりも試験の比率が設計・実装より3, 4%くらい上がっており、改良開発と近い。やはりこちらもデグレを意識しているため試験工数が高いのだろうか。
ざっくりした比率は3 : 3 : 6 : 4 : 3といった感じだ。
中央値 | 中央値 (100%正規化) | 平均 | |
基本設計 | 0.146 | 15.7% | 0.143 |
詳細設計 | 0.165 | 17.7% | 0.175 |
制作 | 0.298 | 32.0% | 0.324 |
結合テスト | 0.204 | 21.9% | 0.212 |
総合テスト | 0.119 | 12.8% | 0.147 |
開発5工程と要件定義の比率
こちらのデータだけ2020版にはなかったので、ソフトウェア開発開発データ白書2018-2019から引っ張っている。
https://www.ipa.go.jp/files/000069381.pdf
ちょっと乱暴な一般化だが、要件定義の工数はどれも大体開発5工程の約10%程度だろうか。
再開発の要件定義中央値が少ないのは現行機能踏襲がメインだからだろうか。平均が一番高いのはよくわからないが…。
左: 要件定義 右: 開発5工程 | 中央値 | 平均 |
新規開発 | 0.089 : 0.911 | 0.097 : 0.903 |
改良開発 | 0.088 : 0.912 | 0.101 : 0.899 |
再開発 | 0.052 : 0.948 | 0.115 : 0.885 |